航空エンジン部品用のタンタル合金(Ta-WやTa-Nb合金など)は、その極めて高い融点(約3000℃)と耐腐食性により、新世代航空エンジンの燃焼室ライニングやタービンブレードコーティングに使用されています。タンタルを含むニッケル基超合金(Ta改質インコネルシリーズなど)の航空試験が実施され、極度の温度下における部品の寿命が大幅に向上しました。極超音速機向けタンタル・ハフニウム・カーボン(Ta-Hf-C)超高温セラミック複合材料は、極超音速ミサイルの耐熱保護システム(ノーズコーンや前縁など)に使用されています。
半導体・電子産業の先端プロセスチップにおいて、タンタル(Ta)とその窒化物(TaN)は、5nm以下の半導体ノードの主要材料であり、トランジスタゲートやコンデンサの誘電体層に使用されています。タンタルコンデンサは高い安定性と量産効率を誇り、電気自動車や5G基地局における需要が急増しています。積層造形(3Dプリンティング)における革新的なレーザー粉末床溶融(LPBF)技術により、高密度タンタル合金(Ta-2.5W)の3Dプリンティングに成功し、カスタマイズされた医療用インプラントや航空宇宙部品の新たな製造プロセスが実現しました。
整形外科および歯科用途におけるタンタルの細孔構造(3Dプリントされた多孔質タンタルなど)は骨細胞の成長を促進する可能性があり、近年では股関節置換術や脊椎固定術に利用されています。また、新しいタイプのタンタル合金コーティング人工関節が発売されました。臨床試験では、その耐摩耗性が従来のチタン合金よりも優れていることが示されています。